行事紹介

平成27年度卒入寮式

平成27年4月5日、板橋学生寮で卒入寮式が執り行われました。今年は、第55期生3名が卒寮し、第59期生として6名が入寮しました。式典では寮長先生や同窓会長、早稲田奨学課長からお祝いの言葉をいただきました。祝賀会では、卒寮生が寮での思い出や社会に出てからの抱負を、入寮生がこれからの寮生活や大学生活での抱負を述べ、式は滞りなく終了しました。

寮長先生式辞(要旨)

赤坂君、豊福君、卒寮おめでとうございます。松尾國三初代理事長は、この寮に精神道場という役割を与えました。皆さんが卒寮する時には、社会人として人間として、そして、何より松尾育英会の出身者として恥ずかしくないように、厳しく指導してほしいと、真弓前寮監先生にお願いしていました。その厳しいながらも、愛情のこもった指導を受けてきた皆さんは、入寮したころと比べてはるかに成長したことだろうと期待していました。先日、寮生会議事録を読んでいるときに、皆さんの書いた文章を見つけました。その文章の中には皆さんの成長した姿があり、今ではこの寮での四年間の経験がみなさんにとって非常に有意義であったと確信をしております。この寮で学んだことを忘れずに、それぞれの道で成長して、社会で役立つ人間となるべく日々努力を続けていってください。 次に、新寮生のみなさん、入寮おめでとうございます。皆さんは厳しい競争を勝ち抜き、それぞれの希望とする大学で勉強するチャンスを得ました。楽しい大学生活を送るのもいいでしょうが、学生の本分は勉強することにあります。この寮には勉強ができる環境が整っています。このチャンスを生かすのも、無駄にするのも皆さん次第です。今、皆さんの胸の内にある熱い思いを、そして、何をするためにここにいるのかを忘れずに、米山新寮監先生の指導の下、皆さんの、目標に向かって有意義な四年間を過ごしていただきたいと思います。

祝辞(要旨)

卒業される方、おめでとうございました。いよいよこの寮から巣立つわけでありますが、ぜひ人間、志を持って生きていってもらいたいと思います。その際に、この寮で得た絆を維持してもらいたいと思います。会社に入ればまた新たな絆も生まれることとでしょうが、寮での絆も同様に大事にしていっていただきたいと思います。 次に、入寮性の6人の方、おめでとうございます。いよいよ家からの巣立ちということですが、本日来られているご両親のみなさん、本人たちはこれから独り立ちをして勉学に励まれるはずであります。私の経験から言って、勉強するのは当たり前でありますが、友達を如何に作るかというのも結構大学では重要ではないかと思います。寮の同窓生ももちろんですが、大学の友達、会社の友達も大事にしていっていただきたい。大学では、学問のほかにサークルをはじめとする様々な活動があります。大学時代にただ学問にのみ先進するのではなく、そういったいろいろな活動の中から、自分に合った活動をした方がより大学生活を有意義に過ごせるのではないかと思います。さて、今日が第一歩でありますがそういった志を持って頑張ってほしいと思います。

歓送迎の言葉(要旨)

卒寮する55期生の先輩方におかれましては、新天地でのご活躍を願ってやみません。しかし同時に、もう少し一緒に暮らしたかったという思いも率直にあります。それだけこの学生寮で先輩方と過ごした日々は尊く、またあっという間に過ぎていってしまいました。そのような先輩方へのエールとなり、また、支えとなる言葉は、戒めをはじめとしたこの寮での言葉そのものであり、これに勝るものはないと思います。そこで、これから社会の荒波の中で戦っていかれる先輩方への願いをこめて、私からは次のような言葉を送らせていただきたいと思います。 「これを知るものはこれを好むものに如かず。此れを好むものは此れを楽しむものに如かず。」右は、論語の中に謳われた孔子の言葉です。意味は文字通りで、知るものより好むものが、好むものより楽しむものの方が優っている、ということです。いくら社会の中で戦っていかれるとはいえ、楽しいことがなければそれはあまりに悲しいことです。新天地へと旅立っていかれる先輩方が常に楽しむ、ということも忘れずに暮らしてくださることも願っております。それ以外のことは何も心配しておりません。この寮で四年間鍛えられた先輩方ならば、必ずどんな困難にも打ち勝ってくださると信じております。私たち在寮生としましても、ご活躍の便りを楽しみにしております。 59期生のみなさんは、今日をもって正式に、私たち松尾育英会学生寮の仲間入りです。今、私は仲間と申しました。それはこの学生寮が皆で作り上げていくものだからです。確かに、入寮した順に56から59という数字がついていますが、この数字は序列でもなんでもありません。ともにこの学生寮を良いものにしていこう、ということにおいては先輩も後輩もないのです。皆がそれぞれ、寮生としての自らや他の寮生、そしてこの寮のことを考え、行動していく精神道場こそ、この寮の、また、寮生の姿です。入寮早々、プレッシャーをかけてしまったかもしれませんが、何よりもまずこの学生寮での暮らしが、皆さんにとって充実したものになることを、それだけは保障します。それはひとえにひとつ屋根の下で暮らす寮生によります。この学生寮の寮生は信頼できる仲間である、とわたしは胸を張って言うことができます。困ったとき、迷った時は周りの寮生を見てください。そしてできたら一緒にお話ししてみてください。きっと何か力になってくれることでしょう。そして楽しむときは、皆で一緒に楽しみを共有しましょう。きっと一人でするより何倍も楽しくなるはずです。ですから59期生のみなさんは安心してこの寮に入ってきてほしいと思います。

卒寮生代表謝辞(要旨)

我々55期生が松尾育英会学生寮に入寮してきたのは、丁度東日本大震災の時でした。震災の影響もあってか、当時入寮が決まっていたのは私と中国人留学生の王の二人のみ。遅れて豊福が震災支援と言う形で育英会からのご厚意を賜り入寮致しましたが、当時人数が一番少ない期でありました。入寮したてで分からないことがあっても、少ない同期だけでは解決できない問題もありました。その時に懇切丁寧に寮での過ごし方を教えてくれたのが、寮の先輩方です。特に当時相部屋だった先輩には、団体生活での過ごし方以外にも、目上の方とお話しする際の礼儀や飲みの場でのマナーなど、今現在でも役立つ様々な知識を教えてくれました。尊敬する先輩方に恵まれ、松尾育英会学生寮で精神を鍛えながら、この4年間の大学生活を全うすることができました。重ねて感謝申し上げます。 この学生寮で学んだ3つのことについて、勝手ではありますが紹介したいと思います。まず一つ目は、「挑戦すること」です。学生寮には、届出がない限り毎日22時の門限が定められています。一年生の頃から体育会系の部活に所属していた私にとっては、この「門限」が、正直何よりの障害となっておりました。もう少し時間があれば遅くまで勉強や練習ができるのに。一年生の時はこんなことばかり考えていました。しかし、学年が二年三年と上がるにつれて、何故か不思議と門限を気にしなくなっていったのです。そうです、門限があるのなら、予定を早く済ませて間に合うようにすればいい。頭で理解する前に、既に体が覚えていました。勉強と部活を両立するために、最善を尽くすにはどうすればいいのか。問題解決力と物事に挑戦する力が自然と身に付いて行きました。そうした生活における地道な努力のお蔭で、所属するテコンドー部において、全国優勝を果たせたのだと思います。 二つ目は「他を尊重すること」です。ここ、松尾育英会学生寮は勉学に励む学び舎であり、精神を鍛える場でもあります。団体行動をするに当たって、一人一人の行動が寮全体に影響を及ぼします。一人がみんなのために、みんなが一人のために、規則を正しく守ることが大切です。この学生寮では、そういった他を思いやる心構えが徹底されておりました。他人事ではなく自分事として捉え、寮生活全体がより良くなるよう改善するうちに、相手の立場で物事を考える力が付 いたように思います。同じ釜の飯を食べ合った仲だからこそ、他の寮生と良い信頼関係を築くことができ、この学生寮に入寮して本当に良かったと心より実感しております。 最後に三つ目は「感謝することの大切さ」です。入寮してから卒寮するまでの4年間、松尾育英会は一時も我々のことを見捨てることなく、支え続けて下さりました。今、こうして私が無事就職をし、ここに立てているのも、育英会の方々が手厚く支援して下さったおかげだと実感しております。他にも、様々な方にお世話になりました。先輩や後輩、同期とは、日頃の生活における良き仲間として、時にはライバルとして、互いに切磋琢磨し合うよき関係を築くことができました。小学校・中学校・高校・大学でお世話になった恩師は、進学・就職と言う人生の岐路に立たされた時、私自身の問題を自分の問題のように捉え、親身になって考えて下さりました。そして何より大きかったのは、家族の存在です。3人兄弟の末っ子として生まれた私にとって、姉と兄の存在は大変大きなものでした。そして最後に両親。片腕一本で私を育て上げた父と、優しく諭してくれた母は、周りに自慢できる最高の親だと感じております。父からは真っ直ぐ誠実に生きることの大切さを、母からは、相手を認め、理解することの大切さを教わりました。正反対な性格の2人ですが、共通して、常日頃から口が酸っぱくなるほど言われてきた教訓があります。「人のためになることをしなさい」この教えは、今も、そしてこれからも貫き通して参ります。そしていつか、「義手を作り、父にプレゼントする」と言う幼いころからの夢を果たし、人のため、社会のために尽くせるエンジニアになれるよう励んで参ります。以上3つのことをこの寮生活から教わりました。これら3つの教訓を胸に刻み、常に初心を忘れないよう心がけて参ります。

入寮生代表誓いの言葉(要旨)

うららかな陽光に桜が映える今日の佳き日に我々59期育英生が入寮することを許可していただきますことを大変嬉しく思い、この場をお借りして改めて感謝の意を述べさせていただきたいと思います。初代理事長先生である松尾國三先生による訓の下、我々の想像よりも遥かに広大な学問の世界へと歩みを進めることに対して、希望と野望、信念や不安など様々な感情が渦巻く現在であります。そうして学問への入り口に立った我々59期育英生一同は、「初志貫徹」の言葉通り、大学での四年間を通じて厳守する誓いを二つ立てたいと思います。 一つ目は、学業を修め優秀な成績を残すことです。「学生の本分は学業、学問にあり」ということを肝に銘じ、世間一般の風潮に流されることなく、学を成すことを第一とします。松尾育英会が整えてくださる良質な学習環境の下、深く学び多くを考えて意思を正確に伝えることができる人間を目指し、日々努力に努力を重ねて精進することを誓います。 二つ目は、規律ある寮生活を通して確固たる人格形成を目指すことです。挨拶や清掃といった日常的なことや寮生活における寮の自治を積極的に行うことで主体的に行動する姿勢を身に付けます。また、自分を律した上で寮の先輩方や仲間との共同生活を進めることで、社会人として必要な協調性を学びとる所存です。 我々59期育英生一同は以上の誓いを深く心に刻み、片時 も忘れずに4年間の大学生活を送ります。そして、必ずや「独立自尊」の社会に貢献する人材となり、松尾育英会にいただいた御恩を社会全体の利益という形で還元することをここに約束いたします。最後になりましたが、先に記しました「初心」を常に忘れず何事にも全力を尽くすことを我々新入寮生の誓いとし、これを入寮生誓いの言葉とさせていただきます。