行事紹介
2024年4月7日、学生寮において第64期生・第68期生の「松尾育英会学生寮卒入寮式」が執り行われました。4年間の寮生活に別れを告げて新たな道へ進む第64期生3名。一方、新たな学生生活に心躍らせ、寮生活に不安を抱えて入寮した第68期生3名がそれぞれの目標に向けて歩み出しました。
式典では理事長はじめご来賓として同窓会会長、同窓会事務局長からお祝いのお言葉をいただき、在寮生代表歓送迎の辞、卒寮生代表謝辞、新入寮生誓いの言葉、保護者代表謝辞などが述べられました。
祝賀会では、第7期生の井上忠様による乾杯のご発声に始まり、卒寮生の4年間の思い出フォトスライドショーを観ながら寮での思い出や社会に出てからの抱負を、新入寮生はこれからの寮生活や大学生活での抱負を述べ、式は滞りなく終了しました。
卒入寮生の皆さん、ご父兄の皆様、本日は誠におめでとうございます。松尾育英会学生寮の卒入寮式にあたり、一言お祝いを申し上げます。
まず卒寮された、T.O君、K.K君、T.D君、卒寮おめでとうございます。4年前、皆さんがこの寮に入寮された直後に新型コロナウイルスによる「緊急事態宣言」が出され、大学に通うことだけでなく日々の生活にも制限がかけられ、その解除後も約2年間様々な制限が続き、その間皆さんにとっても大変難しい時間があったと聞いています。しかしながら、そのような中にあっても勉学の道を諦めることなく、粘り強く努力を続け、皆さんがそれぞれの希望する進路に進み、今日この日を迎えられたことを大変うれしく思っています。この4年間の経験と、その経験から学んだことを、皆さんの将来に生かしてください。
話は変わりますが、今日5年ぶりに同窓会の先輩方が卒入寮式に出席してくださっています。私は、時代は違えども大学時代という少年から大人に成長する過程の多感な時期を、この松尾育英会の学生寮で過ごされた同窓会の皆さんは一つの大きな家族のようなものだと思っています。そして、この同窓会のネットワークこそが松尾育英会の一番貴重な財産だと思っています。残念ながら皆さんは、在寮中に同窓会の皆さんと交流する機会はほとんどありませんでしたが、卒寮と同時に同窓会の会員となります。これからは忙しい日々が続くとは思いますが、できる限り時間を作って同窓会の行事に参加して交流を深めてください。きっと皆さんにとって有意義な時間になると思います。そして皆さんが将来後輩たちに相談されたときには、親身になって相談に乗ってくださるようお願い致します。
次に入寮生の皆さんおめでとうございます。皆さんは厳しい競争を勝ち抜き、それぞれの希望とする大学で、勉強するチャンスを得ました。皆さんにとって大学入学は1つのゴールではありますが、自分が成長するための新たなるスタートでもあります。この寮には勉強に集中できる環境が整っています。楽しいキャンパスライフも結構ですが、学生の本分は勉強することだと思っています。このチャンスを活かすのも無駄にするのも皆さん次第です。自分が何をするために大学に進学したのかを忘れずに、卒寮するときにはそれぞれの夢や目標に少しでも近づいているように、そして希望する進路に進めるように、この寮での時間を有意義に過ごして下さい。
ご紹介いただきました同窓会会長加藤でございます。卒入寮生の皆様おめでとうございます。ご両親もお喜びのことと思います。
私は皆さんの先輩の立場からお祝いとして、これからの生活に少しでもお役立てていただければと思い、いくつかの心構えのアドバイスをさせていただきます。
まず卒寮生の皆さんは、これから「社会に出る(大学院へ行かれる方も数年後には社会へ)」、その社会において「人と交わりながら仕事をし、生活基盤構築と社会貢献を行う」。ここで大切にしていただきたいことを3点に絞ってお話をさせていただきます。
①一番大事なことは、自分のやりたことをやる。1回限りの人生。そうでないと満足できないと思います。皆様方、多分ご存知だと思いますが、Appleの創業者スティーブ・ジョブズが2005年スタンフォード大学での卒業式のスピーチの内容が有名でWebを探せば簡単に検索できますし、ビデオも出ております。まだ見ていない方は是非このスピーチを視聴していただきたいと思います。彼は、「自分のやりたいことをやりなさい」英語では「Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life」。要するに、あなたの時間は限られています。彼はいろんなことを話しているんですけれど、自分の道を歩みなさいと。あなたの時間は限られていますよ。だからそれを無駄にすることがないように。非常に彼自身の人生経験の中での話でとても迫力があります。私も強く印象に残っています。是非その言葉を頭に置いて生きられることをお薦めします。
私自身もコンピューター関連の仕事がしたい、海外での活躍の可能性が高いという理由でNECを選択しました。そこで仕事の内容は変わりましたが、海外留学をはじめ米国で20年近く仕事ができました。
②何をやるにしても、その道で超一流(世界一、日本一)を追求していただきたい。これは簡単なことではないですが、超一流を目指せば超一流になれなくても一流にはなれます。何年か前に政府の予算関係の事業仕分けで有名になった話ですけれども、日本がスーパーコンピューター、いわゆるスパコンの性能で世界一を目指すことに対して、ある議員が「2番目ではダメなんですか」と質問したという話で、要するに2番目を狙うということはほとんど意味がなくて、1番を狙ってやっと2番になったり3番になったりするわけで、最初から2番を目指していたら2番にはなれない。3番にもなれない。1番を目指す。そうすれば社会貢献度は高くなり、地位、名誉、経済的(Reward)にも、なにより満足できる生活ができると思います。
NEC時代に当時の社長がよく話していた言葉があります。「輝く個人」と話していました。要するに会社の中に埋没しない・その会社だけで通用するということではなくて、個人としてどこへ行っても活躍できる人間になってほしいという意味で「輝く個人」という言い方をしました。皆さん一人一人が個人として輝ける人になっていただきたいと思います。
③人間関係を重視していただきたい。どんな分野でも人間関係は重要です。一流人は皆そう言います。また人生どんな人と出会うかで決まるとも言います。人間関係の構築、維持、活用を積極的に行っていただきたい。私自身も米国出向時にベンチャーキャピタル(VC)との出会いでそのVCに誘われて転身しました。こういう意味でこの育英会の寮生活で繋がった友を大事にする。さらに様々な分野で仕事をしている先輩がいる育英会同窓生約300名の人脈を活用していただきたい。そうして皆さんが今度、後輩へいろいろアドバイスする。いわゆるGive&Takeしていただきたい。
次に入寮生に対してお話しします。大きく言って1つです。「勉強しましょう」。これは、何年か前のWebで見つけたアンケートからで、50歳以上くらいの中高年の人に対して「人生を振り帰って一番後悔していることがあるか」というアンケートですが、約30パーセントが「若いころ勉強しなかったことを後悔している」。これは必ずしも大学だけとは限りませんが頭に置いて、皆さん大学でたくさん勉強してほしいと思います。
それからもう1つ、私がNEC時代に会社からの派遣で海外留学をさせてもらう機会がありました。それはMIT(マサチューセッツ工科大学)のビジネススクールで、その学校での学部の学生との付き合いの中での話ですが、アメリカの一流大学というのは大体、私立大学なんです。従って授業料とか学費が高いんですけれど、日本なんかより遙かに高いですが、アルバイト、奨学金など、無論親に出してもらったりというのもありますが、「大変だね」という話をしたら、その学生は「いや大変とは思わない。なぜなら自分への投資なんです。今、良い大学で勉強することによって、将来必ず大きなリターンが返ってくる。だから勿体ないとか一切思わない」という返事だったんです。私はある意味非常に驚きました。本当にアメリカの優秀な学生はよく勉強します。
大学教育は高度の知識教育であります。中身は一般教養教育と専門教育。これらは当然非常に重要であります。専門教育では、文化系は文法、論理、修辞、理科系は算術、幾何、天文、音楽など人間の幅をさらに広げることができます。それから「人生を生きていく上での知恵」が重要です。残念ながら現状では、大学によって与えられる部分が少ないですが、より多くの人と交流することで獲得が可能となります。この部分は、松尾育英会の寮生活でかなり養われる。入寮者は非常に恵まれております。
さらに人生の選択肢を広めるため、大学での授業や座学、本、ネット以外に様々な活動(ボランティア、旅行など)を行い学んでいただきたい。寮生活における議論、助け合い、共同、切磋琢磨などは将来への大きな財産となります。これらは全て大学時代に経験できる「教育」であり「勉強」でもあります。広い意味で大学時代の「勉強」と捉えて励んでほしいと思います。
最後に、卒寮生、入寮生のこれからの成長と活躍を期待しております。改めて本日はおめでとうございます。