行事紹介

平成29年度卒入寮式

平成29年4月2日、ANAインターコンチネンタルホテル東京で行われた松尾育英会創立60周年記念式典に併せて、卒入寮式が執り行われました。今年は、第57期生5名が卒寮し、第61期生として7名が入寮しました。式典では理事長先生や同窓会長からお祝いの言葉をいただきました。祝賀会では、卒寮生が寮での思い出や社会に出てからの抱負を、入寮生がこれからの寮生活や大学生活での抱負を述べ、式は滞りなく終了しました。

理事長先生式辞(要旨)

卒入寮生の皆さん、御父兄の皆様、本日はおめでとうございます。卒入寮式にあたり、一言、お祝いの言葉を贈らせて頂きます。
まず、卒寮生の川口君、三戸君、中島君、宮川君、宮崎君、卒寮おめでとうございます。皆さんが学生寮で過ごされた時間は、皆さんの人生で考えると短い時間ではあったとは思いますけれども、青年から大人へと成長していく過程で、地元を離れ、右も左も分からない東京で、通う学校も学ぶ学問も違う寮生たちと共に学んだ経験は、皆さんにとって、非常に貴重な宝物となるはずです。
先日、このような嬉しい話を聞きました。それは、一昨年、寮監先生が、眞弓先生から米山先生に変わった時、米山先生がまだ寮になれない時に、学生寮の空気が緩んでしまいそうになり、そのときに、皆さん方が中心になって、その空気を引き締めてくれたという話でした。私は「寮監先生が言ったからやる」「言われなかったからやらない」ではなく、寮生自身が松尾育英会の趣旨をしっかりと理解し、松尾育英会の学生寮はどうあるべきかを真剣に考え実行していく。また、寮生それぞれが、松尾育英会の寮生はどうあるべきかを考え行動する。また、寮監先生はそれを見守り、しっかりとした指導で、学生たちが成長していくことを手助けする。また、私たち本部の人間は、学生寮の環境を整え、寮生たちが成長していくことを助ける。これが学生寮の理想とする形であり、本来のあるべき姿だと思っています。
皆さんが取った行動は、自分の頭で考え、自分の判断で行動するという、私が松尾育英会の育英生に「こうあって欲しい」と思うような行動でありまして、その話を伺ったときに、皆さんが成長しているということを実感できて、大変嬉しく思いました。これからも成長し続けて、世界に貢献できるような人材となるように頑張ってください。
続きまして、入寮生の皆さん、入寮おめでとうございます。皆さんは、60周年というとても特別な年に入寮してきました。この卒入寮式の後に行われる、60周年の記念式典には、同窓会の先輩方が、沢山出席してくださいます。皆さんが数年後卒業して卒寮しますと、自動的にこの同窓会の会員になることになります。そして、その素晴らしい人脈を手にすることが出来るようになります。私は、60年間積み重ねてきた社会の各分野、そして世代に広がっている松尾育英会の同窓会の人脈こそが、松尾育英会の宝物だと思っています。松尾育英会は、単に学資金を学生に支給するというだけの育英会ではなく、寮生活を通して、先輩方のような社会に貢献できるような人材を育てていくことを目的としている育英会です。皆さんは、これからの数年間、一生懸命勉強することはもちろんですけれども、寮生活を通して、人間力を高め、素晴らしい先輩たちに一歩でも近づけるように頑張ってください。期待しています。
以上でお祝いの言葉を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

同窓会長祝辞

本日は、卒入寮生の皆さん、大変おめでとうございます。一言、ご挨拶を申し上げたいと思います。
まず、卒寮生の方々、4年間の勉学を経ていざ卒寮ということですが、社会人になるかと思ったら、殆どが大学院、(就職は)一人だけですね。世の中も変わりまして、最近は大学を出てもすぐ就職しないで、大学に残る人が大変多くなってきました。特に理系がそのような勘定になっていますが、皆さん方、一応4年間も勉強したのですから、そろそろ社会人としての気構えでやっていただきたいというように思います。たとえ大学に残っても、大学院とは先生から習うのではなくて、自ら学ぶことになるでしょう。私も理系ですけれども、理系の仕事は大体先生が教えてくれるような問題ではなく、自分でちゃんと答えを導き出すことが仕事であるというように感じます。皆さん方もそのつもりでこれからの研究に励んでいただきたいと思います。
一人だけ就職される方は、大いに社会人としての役割を果たしてもらいたいと思います。何が重要かというと、やはり権利はありますが、当然義務もついてくる、ということですから、権利だけ主張しないで、義務もちゃんと果たしていただくということであります。そのうちに、大学院に進学された方も卒業して社会に出られると思いますが、そのときも含めて、この松尾育英会の創立者、松尾國三先生の言葉にあるように、是非社会に還元をしてもらいたいと思います。何を還元するかは個人の問題でありますが、自由に考えて行動していただければ良いと思います。是非、そのつもりで、これからの一生を生きていってもらいたいと思います。元気にどうぞ。
それから、入寮生の方々、入寮おめでとうございます。ようやく親元を離れて、独り立ちという生活が始まります。ただし、寮ですから共同生活になりますので、個人的な好みだけではだめな面もあります。規律をちゃんと守らなければならないということですが、大学に入って勉強するだけが能ではないと私は思っております。私はもう年を取りましたから、昔のことになりますけれども、寮生活を思い出しますと、結構色々なことをやりましたし、規律に反することもやったという記憶もありまして、当時の寮監先生にはご迷惑をおかけしたなあ、という気持ちもしますが、これも1つの社会経験でもあります。我々の頃は学生運動が盛んで大変な頃でありまして、学生が色々なことをやるという点について、寮監先生をはじめ色々ご指導いただきました。皆さん方も是非大学に入って、まず勉強することは重要でありますが、同時に自分に合った友達を見つけるということも重要であるというように思います。私が今この年になって考えると、大学時代の同級生あるいは友達が沢山いるということで、それが人生に大いに役立っております。寮生の友達も良いのですが、その他に当然、学校の友達、それもクラスの友達だけではなくて、是非、色々な活動をして、友達を見つけてもらいたい。これが、将来の親友になるのではないかと思います。そのような心がけを持って、これから大学生活を送っていただければと思います。
皆様へのお祝いの言葉に代えて申し上げました。どうも、おめでとうございました。

在寮生代表歓送迎の言葉(要旨)

春光麗らかな今日のこの良き日に、この学生寮を卒寮される五名の先輩方、ご卒寮おめでとうございます。また、入寮する七名の六十一期生の皆さん、ご入寮おめでとうございます。
ご卒寮される五十七期の先輩方にはこの松尾育英会で生活する学生としての手本を、背中で教えていただきました。先輩方が卒寮された後は、今度は我々が松尾育英会学生寮を、より誇りある集団にしていけるよう、日々精進して参ります。
先輩方はご卒寮後、就職や進学など、それぞれの道を歩まれることだと存じますが、そのような中で心の支えになるのはやはり、ことあるごとに読み上げてきた「訓」ではないでしょうか。「堅持せよ、鉄の意志と火の精神力。断交せよ、信念の前に不可能なし。希望なきは死なり、勇氣なきは敗北なり…」と続きます。ところで先輩方は、「訓」の中に登場する勇氣の「氣」の字が、普段我々が使う、中が〆の「気」ではなく、米の「氣」であるか、考えたことがございますか?
二つの「気」という漢字には、もちろん違いがあります。中が〆の字の方の「気」には、人間のエネルギーは人間の体の中にあるという、考え方に基づいた字です。それに対して中が米の方の「氣」には、エネルギーは天地宇宙から人間の体を通して四方八方へ拡散していくのだという意味があるといいます。これだけでは意味が分かりにくいと思いますが、この考え方にはさらなる解釈があります。〆の方の「気」は、エネルギーは使うと体から減ってしまうものですが、米の方の「氣」は、エネルギーは使えば使った分だけ、新しいエネルギーが天地宇宙から流れ込んで来る、ということを意味しています。つまり先輩方には、無限の可能性があるということを、「訓」は教えてくれています。先輩方に限界はありません。これから、新たな環境で様々な新しい事柄に触れることかと存じますが、失敗を恐れず、あらゆることに挑戦していただきたいと思います。
そして新入寮生の皆さん、東京や大学での生活は良くも悪くも皆さんの想像を裏切ってくれるものだと思います。そんな予想とのギャプを私は皆さんに楽しんでいってほしいと思っています。しかし、もし悩むこと、行き詰ることができたなら、近くの先輩に話してみてください。きっと力になってくれることでしょう。それが、一人暮らしでは味わえない集団生活の醍醐味だと、私は思っております。
最後になりますが、卒寮される先輩方のこれからのご活躍を祈念し、また新たに入寮する六十一期生の皆さんを心より歓迎して、在寮生代表の挨拶とさせていただきます。

卒寮生代表謝辞(要旨)

本日は、我々卒寮生および入寮生のために、このような盛大な式典を挙行して下り、誠にありがとうございます。また、今年度は、60周年記念式典を兼ねていることから、このような素晴らしい会場で卒入寮式が行われることに深く感謝しております。この松尾育英会学生寮での生活を通して学ばせていただいたことの中でも、私が特に印象深く、心に刻まれている2つの大切さを、ここで述べさせていただこうと思います。
1つ目は集団行動の大切さです。学生寮の生活においては、常に自分のことではなく寮で一緒に生活している仲間のことを考える必要があります。自分が使ったものは次の人のことを考えて元に戻す。後始末をする。今、この場でこの話を聞いている寮生にとっては、ごく当たり前のことのように感じられるかもしれませんが、このように、日常的および継続的に、他人のことを考えて行動するということは困難なことです。そのことを日常生活の中で意識できる機会に恵まれていることは、近い将来社会人になる私たちにとって、非常に貴重な糧となるはずです。
2つ目は様々な考えの人と接することの大切さです。この学生寮には、様々な出身、大学、学部の寮生がいます。一人暮らしをしていたなら、なかなか聞くことのできないような話を、この学生寮にいる学生は自然に聞くことができます。加えて、今社会に出てご活躍されている先輩方の貴重なお話しを、先輩ゼミやその他のイベントを通して聞くこともできます。このように、様々な背景を持った人の話を用意に聞ける環境、また、それらに関する議論によって、より深い理解を自分たちに与えてくれる場が日常的に用意されていることは、非常に贅沢で素晴らしいことではないでしょうか。
4年間の学生寮生活は、社会に足を踏み入れるための、ほんの第一歩でもありますが、一方、これからの経験を積み重ねていくための土台でもあります。私たちは、松尾育英会の卒寮生として、各分野での活躍を通して、社会貢献に努め、この学生寮の理念である「受けた恩は社会に返す」所存であります。
最後になりましたが、理事長先生をはじめ、諸先生方、諸先輩方のますますのご健勝と、松尾育英会の更なる発展を祈念致しまして、卒寮生代表の挨拶とさせていただきます。

入寮生代表誓いの言葉(要旨)

 春たけなわの今日このごろ、花の便りもあちこちで聞かれる時候になってまいりました。今日この佳き日に、我々第61期育英生に入寮を許可していただくとともに、このような盛大な入寮式を挙行していただきますことを大変うれしく思います。この場をお借りして、改めて感謝を述べさせていただきます。
 今日より、我々は初代理事長先生である松尾國三先生が示された訓の下、寮生活を送ることになります。伝統ある松尾育英会の一員であることを自覚するべく、来たる大学生活において厳守する誓いを2つ立てたいと思います。
1つ目は、日々刻苦勉励を重ね、将来必ず、立身出世し社会に大きな貢献をすることです。松尾育英会が整えてくださる良質な学習環境の下、常に己のすべきことを意識し、すべからく学問に精励する所存です。松尾國三先生のお言葉「努力なくして成功なし」を心に刻み、精進してまいります。
2つ目は、先輩方や仲間と共にする規律ある寮生活の中で互いに切磋琢磨し、確固たる人間形成を目指しつつ、社会人としての協調性を学ぶことです。挨拶、清掃、寮生会の仕事を積極的にこなすことはもちろん、常に他者を重んじ、利己的な言動を避けることで、行動力のある温柔敦厚な人格の形成を目指します。
我々61期育英生一同は以上の誓いを深く心に刻み、片時も忘れることなく四年間の大学生活を送ります。最後になりますが、先に述べた初心を常に意識し、何事も全力で取り組むことを新入寮生の誓いとし、これを入寮生誓いの言葉とさせていただきます。